2019年よかった音楽

 おばんです。

 インターネットを眺めているとみなさんちらほらと2019年ベストアルバムなんて選出し始めているので、えいやととりあえず選んでみた。思えば、四半期ごとにやるつもりだったものの第一クォーターのみやって終わってしまっていた。

 先日Twitterで、音楽の良さについて論評する際にはその客観的な良さと主観的な良さとの距離をある程度は保つべきだ、というものを見かけたが音楽について私はそういうことができない。ここに選んだものは、ほとんどがあの時に聞いていたということを明瞭に思い出せるものが多い。個人的な良さの尺度として思っているのは日常のどのようなシーンで聞き続けてもきっと耐久性のありそうなものである。本、漫画やアニメならばどこがどう良かったのかを論じることはできるものの、音楽についてはいかんせん口下手になり良かったとしか出てこないのが困りもの。

 それを加味してもらいつつ寛恕してもらいつつ、おおざっぱにコメントをつけていく。

 

Little Electric Chicken Heart

Little Electric Chicken Heart

  • Ana Frango Elétrico
  • ロック
  • ¥917

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 ジャケットだけを見ると暗そうだな、男性ボーカルなのかなと思って聞き始めるとそうでもない。そのややピンボケしたジャケットのように温かみのある女性ボーカル曲。秋の晴れた日に聞きながら散歩したくなる。

 

Mínimas

Mínimas

  • Así
  • ラテン
  • ¥1528

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 去年もアルバムをリリースしているがそれより断然良かった。どうでもいいことにアーティスト名の"í"と"i"は違うため、正しい発音はよくしらない。前作も他のアーティストとフィーチャリングしている曲が多かったが今作も多くある。それがいい。とりたててランキング形式にしないものの、仮にしたとき今年良かったもののなかでも上位に入れそう。

 

El Guardián

El Guardián

  • Gonza Di Muro
  • ラテン
  • ¥1528

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 私が音楽を探す方法なんて限られており、定まったやり方としてあるディスクユニオンブラジルラテンのTwitterを見るなかで見つけたもの。今作で初めて知った。前作までは非常にジャズ色が強かったものの、そのジャズらしさを残しつつギターを前景化させている点が好みにあった。

 

Besos en la Espalda

Besos en la Espalda

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 今年はひそかにスペイン語ポップというジャンルをがんばって探すぞと思っていた。しかし、夏が終わり気づけば探すことを怠ってしまっていた。去年リリースされたBandalos Chinosが非常に良く、それに続く形で今年のスペイン語ポップで一番好き。しかし、apple musicの「スペイン語ポップ」という曖昧なジャンル付けはなんなんだろうか。

 

Mood Swings (Volume One)

Mood Swings (Volume One)

  • Jerome Thomas
  • R&B/ソウル
  • ¥917

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 この曲について記憶を探した時出てきたのは、今年の9月末まで塾のバイトに通っていた八王子の風景だ。18時前の暗くなりかけた八王子駅の北口を歩く、そんな風景が思い出される。そういえば、塾のバイトは5年ないくらいやったために、八王子にもやはり5年くらい足を運んだが一度たりとも南口に出たことはなかった。

 あとこれを書きながら、アルバムのタイトルに"Volume One"とついているが"Volume Two"の存在を知らないことに気づく。

 

https://music.apple.com/jp/album/35-mm/1464768714?at=10l8JW&ct=hatenablogmusic.apple.com

 なぜかはてなブログのリンクの埋め込みに失敗してしまっているが、Juan Fermín Ferrarisの35 Mm。ジャズは好きなもののそれでも唄が入っているほうが好きだが、これは唄なし。一曲目で、子供の陽気な声と楽曲が織り込まれており、それがすんなりとアルバムに導いてくれる。


Diverso Mundo

Diverso Mundo

  • Juan Miguel Carotenuto
  • フォーク・ロック
  • ¥1528

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 Juan Fermín Ferrarisのメンバーか何からしいという情報を見た気がする人のアルバム。こちらは唄もの。シンプルに良くて飽きずに聞いていられる。

 

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 これはたしかinstagramでAntonio Loureiroか誰かが勧めていて、へえと思って聞いたアルバム。総局数が19曲だがインタールード的なものも多く見た目に反して負担は全く感じられない。こう楽曲数が多いものは途中ではっとしてアルバムから途中覚醒し飽きてしまうものが多い。しかし、これにそうした瞬間はない。

 

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 前作のTwo Windowsがダークだった記憶があるものの今作は明るい。Lali Punaいいよね。

 

Nacer en Marte

Nacer en Marte

  • Lidia Damunt
  • ポップ
  • ¥1528

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 ジャケットのパンチがすごい。銀塗りってなんだかわからない。基本的にはアコースティックな構成に時々シンセが入ってくるくらいで、ジャケットほどのパンチがあるわけではない。ただしゃくりが少し特徴的で戸川純を思い出す。

 

https://music.apple.com/jp/album/2019/1480715497?at=10l8JW&ct=hatenablogmusic.apple.com

 これもまたなぜかリンクの埋め込みに失敗しているが、Lucy Dacusの2019というアルバム。彼女は今年は一か月に一曲ずつリリースしており、それをまとめたのが本作となっている。そのためアルバムとしてのまとまりは弱いがそれぞれの曲は良い。しかし、前作のHistorianがあんまりにも良かったし、それを越せてないものの、Lucy Dacusのファンになってしまったので選んでしまった。アルバムのラスト曲が"Last Christmas"で、それが私が抱く彼女の印象とかけ離れてしまっていて笑ってしまう。ギターで引っ張るLast Christmasは爽快。

 

Déjà-Vu

Déjà-Vu

  • Metrô
  • ブラジル
  • ¥1528

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 1曲目から聞くとただのフォークロアかなと思っていたが、2曲目からはシンセが加わりフォークロアとシンセポップらしさが良い感じに調和してて好きなアルバム。

 

The Return

The Return

  • Sampa The Great
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥1528

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 かっこいい。ただ長い。聞き終わると達成感がある。

 

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 こういう女性SSWが大好きです。Lucy Dacus然り。先日リリースしていた3曲入りシングルも良かった。

 

Thina

Thina

  • Seba Kaapstad
  • ネオ・ソウル
  • ¥1528

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 いいネオソウル。

 

forevher

forevher

  • Shura
  • インディ・ポップ
  • ¥1528

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 やっぱりこれもわかりやすくSASAMI、Lucy Dacus同様ですね。

 

So!YoON!

So!YoON!

  • So!YoON!
  • R&B/ソウル
  • ¥1375

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 何よりジャケットのインパクトが強い。謎の生物。さわやかなソウルですね。夏前にランニングしながら聞いた。

 

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 浮遊間のある男性ボーカルと楽曲のミステリアスさは深夜にぴったり。

 

¿Dónde Bailarán las Niñas?

¿Dónde Bailarán las Niñas?

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 スペイン語ポップ探そう活動の一環。謎のくくりではあるもののスペイン語ポップであるとなんとなくわかる。

 

expensive magnets - EP

expensive magnets - EP

  • expensive magnets
  • ジャズ
  • ¥1528

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 私が音楽を探す次のやり方はBandcamp Dailyをちまちま見ることである。ジャズというジャンル付けになっているけど、よくわからない。ぼやっとした音像が心地よいミニアルバム。

 

Yate

Yate

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 スペイン語ポップを探す中でありがたいことに、TBSラジオの「ジェーン・スー生活は踊る」の毎週金曜日に行われている洋楽コラムの中で紹介してくれていた。スペイン語ポップは夏に良い。暑い日には暑い国の音楽を聞くべきなのである。

 

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 いまいちどう発見したのか思い出せない二枚組アルバム。軽快なエレクトロで気分が良くなる。

 

LEGACY! LEGACY!

LEGACY! LEGACY!

  • Jamila Woods
  • R&B/ソウル
  • ¥1528

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 今年ソウルのなかでもそれなりに繰り返し聞いた。それも当然でリリースされたのが5月頃だからである。でも、良いよね。

 

Starts Again

Starts Again

  • Tawiah
  • ソウル
  • ¥1375

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 唄で引っ張るシンプルでかっこいい。

 

https://music.apple.com/jp/album/1958/1473416234?at=10l8JW&ct=hatenablogmusic.apple.com

 三度目の埋め込みの失敗。Blick Bassyの1958。2曲目がものすごく好きでただそれだけ。

 

Vox

Vox

  • Pedro Martins
  • ジャズ
  • ¥2037

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 Pedro Martinsのギターのうまさにいつもびっくりする。アルバムとしては、安定感、安心感があっていつ聞いても、うん、良いよねとなる。

 

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 "This Is How You Smile"というタイトルとジャケットの陽気さを裏切らないような温かさ。

 

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 このアルバムについて記憶をたどったとき、あるのは雨の帰り道。駅から帰ろうとしたらいい具合に雨が降っていて、自転車を引きながら歩いて帰ったのを思い出す。

 Rough Trade Sessionとかいうミニアルバムも出しててこちらもいいですね。

 

THE FOG - EP

THE FOG - EP

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 去年リリースされたお湯の中のナイフも最高だったが、これも非常に良い。家にレコードプレーヤーがないけど、どうせダウンロードコードついてるでしょって思いながらLP版を買ったらなくて少し焦り、apple musicを確認したらリリースされてて一安心した思い出。12月18日にでる家主のアルバムも楽しみ。

 

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 先日、People In The Boxの波多野氏との対談で名前を知って聞いてみて、あんまりにも良くてものすごくショックを受けた。日本のバンド探しを半ば怠ってしまっていたが、こんなにもいいバンドを見落としてしまっていた自分にショックだった。

 聞いて街をぶらつくと解像度のあがった街並みが見えた気になった。

 

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 思えば2019年の始まりはこれだった気がする。MoYuRuを聞いてから合唱コーラスがいたく心に響いたのか他の曲でもそういうものを聞くたびに少し涙してた。門田氏によればガンダムUCイメージらしい。イプシロンは泣いていたよのダサカッコよさ、瓦礫のオルフェオの退廃性、どれも最高です。

 夏ごろに唐突にリリースされた過去曲をアレンジした「Lost Verse(s)」もかっこよかった。Analyseをこんな風に聞き直すなんて。

 

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 締めはこれでいいでしょう。

 Kodomo Rengouを咀嚼しきれていないなかでの今作。2121から懐胎した犬のブルースは最高。

 先日公開された「音楽と人」でのインタビューを読んでまた聞き直したいところ。

音楽と生活をめぐる旅。香川県へ移住したPeople In The Box波多野裕文を訪ねて | 音楽と人.com

 

 12月はまだ3週間ほど残っているし、とりあえずの気持ちでえいやと選んだのでまだ見落としてあるので追加するかもしれない。

 ただすでに一回選んだことに満足してしまってやらない見込みのほうがきっと高いだろう。

 

Episode 4.0 AXiSによせて

 おばんです。

 以下は、タイトルの通りTokyo 7th SistersのEpisode 4.0 AXiSが無事完結したことに寄せてのただの覚書です。

 本エピソードは、総監督である茂木氏が語るようにナナシスという大きな物語である全体の起承転結のうち転にあたるものである。これまでエピソードと比べても気合の入りようは格段に違う。全13話構成であり、最終話である13話は60分と大ボリュームとなっている。さらに演出において、今までは使いまわしの背景に対して、キャラクター絵をはめ込んでいたが、アニメーション演出をふんだんに盛り込んでいる。またこれまでの主要となるエピソードを象徴するリードトラックが存在していたが、今回もまたある。後述するようにAXiSのHeaven's Rave、COCYTUSであり、また13話のEDである777☆SistersのNATSUKAGE -夏陰-である。

 本エピソードの大筋は以下となる。かつてアイドル界を席巻したセブンスシスターズのそれぞれのキャラクターと同じ声を持つAXiSが登場。彼女らの目論見はアイドルとそれらにまつわる世界を滅ぼすことであり、そのために777☆Sistersに勝負をけしかける。エピソードの後半につれて明らかになるように、この勝負の行方に何を彼女らは見出すのだろうか、というのが問いとなっている。

 この覚書には多くのネタバレを含む。まだ全てのエピソードを読み終えていない諸君は回れ右だ。はやく読みたまえ。

 一応、覚書といえども目的を設定しておこう。二点になる。一点目として、AXiSが提出した問いに対して、777☆Sistersのみながどのように応答したのか、を確認することであり、二点目としてその応答を吟味することである。

 

 1.翼・灰・exit

 まず本節のタイトルを明かす前にAXiSの主張を確認しよう。メンバーは6人いるものの、中心的人物である天神ネロの主張を見れば、それはほとんどAXiSの主張として受け取れる。天神の来歴は次である。彼女には、アイドルを目指した姉がいた。しかし、姉はセブンスシスターズに及ぶわけでもなく、ただアイドルとして成功できるわけでもなかった。さらに悪いことにセブンスと同じ声を持つ天神の存在によって同時に、精神を病んでいき、ほとんど寝たきりになってしまう。天神の主張の枢要の一つはここにある。「セブンスの呪い」、それは第一に一世を風靡したにも関わらず突如解散したことによりファンたちを裏切り、彼ら彼女らに大きなアイドルに対する不信感を植え付けたことであり、第二にセブンスは「皆の手を引く、元気に、笑顔にする」と言っているにも関わらず、ファンを裏切った、のみならず知らず知らずのうちに天神の姉ように敵を生み出し、蹴落としていった。セブンスの行為とは裏腹に存在し、禍根として持続する欺瞞や裏切りである「呪い」を、むしろこの「呪い」を利用することによって打ち砕くことがAXiSの狙いである。彼女らの矛先は、ただアイドルのみに向かうわけではなく、ファンなどアイドルまつわるもの全てに向かう。AXiSの他のキャラクター像に象徴するように、ただファンはアイドルを性的に消費したり、囲いとなったり、すぐに移ろっていってしまう。AXiSは、こうしたファン、産業などを含めたアイドルにまつわるもの全てが消し去られることを狙う。

 天神はセブンスの後継となった777☆Sistersのうちに同様の欺瞞を見出す。特に777☆Sistersの主人公といってもいい春日部ハルはこの問いに執拗にさらされる。春日部は「ただ誰かを笑顔にしたくて、背中を押したくて、そして光になりたくて」、アイドルをやっていたにも関わらず、その行為が天神の姉のように敵を生み出し、そして蹴落としていってしまったのではないか、真逆のことを結果として生み出してしまったのではないか、と懐疑に陥ってしまう。

 AXiSは以上の狙いのために、777☆Sistersにライブで負ければどちらかが解散という、勝負をしかける。AXiSが勝って777☆Sistersが解散し、その上で自分たちも解散。あるいは777☆Sistersが勝って、AXiSが解散することになったとしても、天神が自殺を企図することによってファンに衝撃をもたらす。どちらに転んでも、アイドルは消滅し、二度とアイドルなど生まれないようにする。これが大筋となっている。

 天神の主張やAXiSの唄ではこうした狙いを裏付けするように印象的なものが多い。例えば、天神は多くの箇所で「灰にしちゃるけん」という。さらに天神は最終話で自殺を企図する際に、象徴的に姉に語りかけるように「翼があったらよかったのにな」という。またHeaven's Raveの歌詞には、「連れてってあげるよ天国へ まだまだ騒ぎ足りないの 現実捨ててこれたなら その目を見つめてあげるよ」とある。灰、翼、天国といった象徴的な言葉はAXiSの主張を非常にわかりやすく表している。今ここにある世界―アイドルにまつわる世界―を燃やし尽くして灰にすること、そして翼によって天国あるいはこの世界ではない外部への脱出 Exit である。

 蛇足ながら、AXiSの主張を目にしたときに私自身、非常に驚いた。これは近年日本でも取り上げられ注目されている加速主義の主張に酷似するからである。加速主義の立場は様々なものがあるが、特に最もラディカルであるニック・ランドの思想とAXiSは符合する。ランドは、現在の資本主義の力を解放し、徹底的かつ破壊的に推し進めることによってこの世界からの脱出Exitを目指す。資本主義=アイドルの力、呪いによる推進こそが天国へと繋がるのだ。

 

 2.歩くこと・今ここ・自己信頼

 前節でAXiSの主張について確認できた。私たちはここでこの覚書の目的の一つである応答について確認できる。

 春日部の12話や最終話における台詞から読み取ることができる。

ねぇみんな、聞いて。

もうすぐAXiSとの戦いの日が来るね。

私たちは勝てないかもしれない。

解散してしまうかもしれない。

消えてなくなってしまうかもしれない。

戦わなくたって、誰も文句は言わないと思う。

だけど、それでも私たちは、ここまで歩いてきた。

自分の足でここまで歩いてきた。

勝ちたかったから?違うよ。

私は、私を超えたかったから歩いたんだ。

なんでこれをするのか、なんのためにここにいるのか、そういうことから逃げたくなかったから、歩いたんだ。

そうやって歩いて、私は今、ここにいる。

私はもう逃げない。目を背けない。戦うよ。

勝つためじゃない。負けるためでもない。

自分に嘘をつかないために戦うんだ。

もし負けて解散するとしても、私は後悔しない。

解散するから、なんだっていうの?

そんなことで、私たちのやってきたことは、歩いてきた道のりは、消えない。

アイドルは消えないんだ。

Episode 4.0 AXiS 12話より

自分の足で――”青空”(ここ)まで、歩いてきた!!

Episode 4.0 AXiS 13話より

まず、はじめに私はみなさんのことを、よく知りません。

それに、きっと気の利いたことも、誰かを救うような言葉も言えないから、自分のことを、私たちのことを、話そうと思います。

私たち、歌や踊り、たくさん練習しました。今までたくさん負けちゃいそうなときも、折れちゃいそうなときもいっぱいあった。みんなもそうでしょ?

負けそうなとき、苦しいとき、悲しいとき、ひとりだって感じて、自分が何でここにいるのか、どうして生まれてきたのか、わからなくなる、そんなときが。

同じだね、同じなのに、ごめんね。

私には、『あなたはひとりじゃない』なんて言えない。

私たちは他人だもん。

私は、あなたじゃないもん。

あなたはひとりぼっちかもしれない。

あなたの過去は、やりなおせないかもしれない。

あなたの未来は変えられないかもしれない。

でも、いつか、そう思う日がきたら思い出してください。今日、あなたがここにいたこと、あなたが、私の背中をおしたこと。

だから、あなたは、私のアイドルです。

ありがとう、あなたがここにいてくれてよかった。

 Episode 4.0 AXiS 13話より

  読んでわかるように、AXiSとのコントラストである。AXiSが主張する灰、外部への脱出、天国へ、ではない。777☆Sistersがアイドルとして目指すことは、翼によって羽ばたいていくことではなく、「歩いて」、そして「今ここ」にたどり着いたことそのもの、軌跡、自分の足を信じることである。

 こうした主張は、ラルフ・ワルド・エマソンを思い起こす。エマソンが主張する自己信頼や円に関する議論はこの応答と符合する。エマソンによれば、自己信頼とは、社会に何らかの形で迎合することではなく、自己の奥深くにあるものを発掘し、そして信頼することである。そして、円については、その信頼した地点は一つの円となり、一つの完成となる。だがその描かれた円はそれで完成して終わるのではなく、その外にまた円を描けるのだ、とエマソンは主張する。

 エマソンの思想は、ニーチェが述べるような超人とはやや異なる。自己信頼は、自分自身一人での精進ではなく、他者関係である。私たちの今ここまで歩いてきた道のりは一つの到達点だが、その先を行くものたちがいる。私たちは先を行くものたちを見ては、また新しい円を描くことができる。先を行く他者を信じることは、たどり着くだろう自分を信じることであり、やはり今ここにたどり着いている自分を信じることでもある。

 ここで、春日部の述べる「自己を超えること」、そして「あなたはアイドルです」という主張を理解できるようになる。すなわち、私たちは誰かの先を行くものであり、同時にその先を追うものでもある。追いついてたどり着いては、また先に行くものを見る。そして追い越すために歩き出していかなくてはならないのだ。そうした意味で、先を行く他者がアイドルであり、自身も先を行くものとしてアイドルなのである。

 

 3.おわりに

 だからといって、どちらの道を取るにしても容易なわけではない。

 AXiSの道の険しさは、最終話のライブ時の蓬莱タキによく表れている。彼女は、脱出への恐怖に怯え、失敗してしまう。天国へと至る階段を登れる人間は多くはない。自己を否定する力、死への欲動の肯定という倒錯性を貫ける人間は果たしてどれだけいるのだろうか。

 だからといって、777☆Sistersが選んだ道も優しいわけではない。私たちはたしかに「今ここ」にいるかもしれない。しかし、ここまで歩んできた道は見えているだろうか、途切れ途切れではないだろうか。そして途切れていたとしても、歩んできたんだ、というその身体の感覚、記憶があればいいというかもしれない。しかし、私たちはその感覚や記憶をどこまで保っていられるのか。今や疲弊し、消尽しかかっている。そして、先を行くものたちの光が見えるか。あるいは先を行くものたちの真っ直ぐな光は強すぎて逆光で前が見えなくなっていないか。

 最も不幸なのは、この二つの道の手前で立ちすくんでしまう人々である。倒錯性を貫くほどの勇気もなく、今ここを信じるだけの他者関係も何もない人間はどうするべきなのか。777☆Sistersの道の厳しさの一つは、世界や他者との紐帯である信が途切れてしまっているにも関わらず、その信をどうにか再建しなければならないことである。

 最終話の天神の台詞は印象的である。

偶像やない、こいつは、人間ばい。

Episode 4.0 AXiS 13話より

 他にもこうした台詞は多く見受けられる。私たちは、人間であり、生きていくのだ、と。

 しかし、私にはアイドルを人間にしてしまうことは最も厳しい道を選んでしまったようにしか思えない。アイドルを人間としてしまうことは、全ての人間をAXiSか777☆Sistersか、という岐路に立たせてしまう。そこに逃げ場はない。だって私たちは人間になってしまったのだから、そしてそれはアイドルなのだから。

 そして、比嘉アグリのつぶやきは最も重い問いとなり、またAXiSが投げかけてきた最初の問いにつねに舞い戻らされてしまう。

こういう風にしか世界を愛せなかった人もいるの

Episode 4.0 AXiS 13話より

  私たちは彼岸の他者をアイドルと見なせるか、そしてその他者のアイドルとなれるのだろうか。

Tokyo 7th シスターズ声優のラジオ

 なんとなくTokyo 7th シスターズの声優の方のラジオをまとめてみました。とりあえず、アニメタイアップではないラジオです。

 あと掲載している方は、7/20に行われた武道館ライブに出演された方をまとめました。気が乗ったら今後足すかもしれない。漏れがあったらごめんなさい。

 

・篠田みなみ

anitama.com

agonp.jp

 

高田憂希

twitter.com

 

加隈亜衣

ch.nicovideo.jp

 

・中島唯

ch.nicovideo.jp

 

井澤詩織

www.c-channel.secondshot.jp

twitter.com

twitter.com

 

清水彩香

www.onsen.ag

 

道井悠

ch.nicovideo.jp

 

今井麻夏

なし

 

大西沙織

加隈亜衣と同じくキャン丁目キャン番地

www.onsen.ag

www.animatetimes.com

ただしこれは現在休止中

www.joqr.co.jp

 

・中村桜

清水彩香と同じく清桜

vstation.net

 

・高井舞香

ラジオなし。以下twitter

twitter.com

 

桑原由気

anitama.com

 

・吉井彩実

ラジオなし。以下ブログ

ameblo.jp

 

植田ひかる

ラジオなし。以下twitter

twitter.com

 

藤田茜

www.onsen.ag

ch.nicovideo.jp

 鷲崎健と8月から放送開始予定

www.onsen.ag

下地紫野との限定配信

 

広瀬ゆうき

ラジオなし。以下twitter

twitter.com

 

山本彩乃

ラジオなし。以下twitter

twitter.com

 

・野村麻衣子

ラジオなし。以下twitterおよびinstagram

twitter.com

www.instagram.com

 

巽悠衣子

seaside-c.jp

ch.nicovideo.jp

 

山崎エリイ

freshlive.tv

 何やらパーソナリティを担当するようです

 

田中美海

ch.nicovideo.jp

音泉プレミアムに関する忘備録

 久しぶりにブログ書きます。

 内容はただタイトルの通り音泉プレミアムに関する忘備録。

 

 こんなことを書こうとした経緯として、今年の1/26に声優の藤田茜さんが誕生日をむかえられ、それを記念に藤田茜生誕25周年記念番組と題して「藤田茜シーズン1」という一人しゃべりラジオが、音泉プレミアムで始まった。

 ここで、藤田茜のためだけに、音泉プレミアムに入るか!?と思いつつ、音泉プレミアムについて調べるも大した情報がわからず結局足踏みして、前回配信にてWUGの吉岡茉祐さんがゲストに来たということもあり、勢いで登録した。

 プレミアムに関する大まかな内容はこちらをご覧ください(

アプリ・プレミアムコンテンツ | インターネットラジオステーション<音泉>)。

 ここでは、足踏みしてしまって、勢いで登録する際にわかったこと、そして改善してほしいなと思うことだけ書きます。

 まず足踏みした最大の理由としては、月額がいくらか全くわからなかったこと。この点については、アプリで会員登録し、プレミアムコンテンツにさらに登録しようとするときにわかる。

 で、具体的に月額550円。なお登録してから二週間の無料トライアル期間がある。そのトライアル期間終了後キャンセルしない限りは、おそらく自動的に月額コースに入る。

 最大の理由と書いてしまって、他に理由があったのかと自問したがなかったので、改善を望む点として何点か。

 一点目として、プレミアムコンテンツをパソコンでも聞けるようにしてほしい。現状プレミアム会員は、アプリで通常会員になり、さらにプレミアム会員になるという形でしか登録されていないため、原理上アプリを介さないパソコンのブラウザのやつでは聞けない。

 私はネットラジオを家にいるときにパソコンでしか聞かないので正直困る。

 あと藤田茜さんの番組は映像配信なので、正直スマートフォンの画面サイズでは少々不満がある、というところ。

 二点目として、アーカイブ配信が過去三回というのは少ないのでは?という気持ち。この点については、他と比較したことがないのでなんとも言えないが、アーカイブ配信は過去五回くらいまでにしてくれると嬉しい。

 

 以上が、音泉プレミアムの制度について登録する前後について思ったことでした。

 藤田茜好きだけど、隔週配信しかしないのに月額550円って少し高くないか?という気持ちはなくなはないですが、なぜか映像配信だし、1時間くらいしゃべって、自由にやってるので良いです。あと、他のプレミアム会員専用の番組として、「高橋李依上田麗奈 仕事で会えないからラジオ始めました」とかは面白くて良いです。映像配信ではないけれど。

 最後に、プレミアム会員に登録すれば、一回目はいつでも聞けるものの、前述の通りアーカイブ配信は過去三回目までです。藤田茜シーズン1は、現在5回目まで配信中。ということは、第二回が聞けるのはあと少しなので、入るなら今からかもしれません。

 予告だけアプリから見れるのでよろしければ是非というお話でした。

藤田茜シーズン1 | インターネットラジオステーション<音泉>

 

第二回Twitter読書会

 前回やってから早いことにすでに四ヶ月あまり、なんて恐ろしいことだ。諸事情によりそんなに経ってしまいました。さて二回目です。

 2014/6/28(土)22:00から翌日の6/29(日)22:00までやります!

 課題図書の方ですが今回はこちら…

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 坂口安吾『私は海をだきしめていたい』

 夏になる直前、7月に入る直前「海」というものを考えてみてはどうでしょうか(そこまで夏かどうかは置いといて)

 非常に内容がいいことは勿論ですが半分くらいこのタイトルで決めました

 こちらの作品は青空文庫で読むことができる上に長くないので是非読んでご参加ください

 青空文庫のページはこちら http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42909_23103.html

 読書会の内容は至って簡単。開催期間中ハッシュタグをつけて思い思いの感想を述べていただくだけです。読書会前に一度読んでいただけると大変助かります。

 どなたでも大歓迎。覗くだけでポストしなくても大歓迎。参加するときは感想や意見、考察にハッシュタグを添えてポストするだけ。そして、他の方の意見も参考に互いに意見をくみかわしつつ、作品に対する思いを深めていただければ嬉しいです。

 つまり…

 

 本を読んで自分の思ったことをハッシュタグをつけてポストする!

 ハッシュタグは#twi_dokushokaiです!

 

 よろしくお願いします!!!

 

雑記

 先週は読書会やりました。ご参加ありがとうございました!

 今週も雪です。寒い。雪が降ってから昼間も気温が上がらなくて寒い。家にこもっているだけですが。

 

◆先週の2/8-2/9に読書会やりました。まとめはこちらです。http://togetter.com/li/627837

 何やら今のところ1800viewを超えてて驚きと同様を隠せない。togetterのview数の基準とか全く知らないけど。でも、togetterの垢に紹介されたりしてた。驚く。人気の記事になってた。

 今まで読書会というものには長らく参加はしていたのですが、読書会というものを行うのは初めてだったので、緊張してました。人並みのこれだけRTしてもらっているのに人来なかったらどうしようとか、等々。しかし、人来てくれました!しかも結構来てくれた。post数も結構な数になりました。togetterとやらでまとめるのやり方わからないながらにやって、見にくく長くなってしまったけど許してくれたまえ。post数多いからまとめきれなかったといううれしい悲鳴ですね。

 で、今回のが一応第一回なので、第二回やりますよ!やるようです。

 候補作として、今回の課題図書のなかでロボット五原則が出てきたので、それ繋がりでアシモフロボット三原則を取り扱ったらいいのではないかなあということが一つ。

 もう一つがこの間読んだ岩波文庫から出てる坂口安吾桜の森の満開の下に収録されている「戦争と一人の女」「続戦争と一人の女」が非常に良かったのでこれもいいのではと。

 後者が青空文庫でも読めるのですが、なんと青空文庫のほうは、この作品が出版された時代が時代だったので検閲に引っかかり、除去されている部分もあるようです。一方で岩波文庫のやつはノーカット版ということで、勿論ノーカット版でやりたいのですが、岩波文庫のやつそこまで売っているとは思えない。

 ということのようなので、少し検討してみます。もしかしたら青空文庫で読める他の坂口安吾の作品になるかもしれない。青鬼の褌を洗う女とかも好きですし

 

◆1月の頭に大学がまた始まったと思いきや、あっという間に終わり今は春休み。雪降ってるけど。学部三年終えました。選択必修の単位足りてないよ。来年度必死こかないと卒業出来ないよ。卒業できるように、そして卒論できるようにがんばります。今は参考文献を読んでます。

 あとはまた小説書きます。半年くらい書いてなかったけど。どこかに旅に行ってしまったやる気が帰ってくるのを待つのではなく、今度は自分から迎えにいってみます。「僕らの自意識」も公開するって言って2話止まりだったり、すでに15話くらいストックあるのに。そこら辺はまた頃合いをみてやります。

 

◆雪の日って聴きたくなる曲がたくさんあってシルバニアスリープだったり、中村一義のスノーキングだったり、フジファブリックのAnthemだったり。ただそういった日にしか聴かない曲って思い入れが強くて、記憶が詰まっているのでだめですね。

 元々出不精だから行動する範囲なんて限られているから、出掛けるところなんていつも決まったところしかなくて、そこには記憶が染み付いていてだめですね。門田氏もGhostで『思い出は幽霊みたいに張り付いて 気づいたら街のそこら中張り付いて』って唄ってるし。どこか遠くに引っ越したい。

 

 ではでは。

 

 Nobody Knows My Name/門田匡陽