暇つぶし

ついったーの診断メーカーのお題ででた夜のロフトで足音と約束を破るという題で書いてみた。

ちょいちょい書いてきたい。1000字から2000字くらいで

コト・・・コト・・・コト・・・と私たちがネタか見回りに来ているお父さんの足音が階下に聞こえる・さらに足音は近づいてきて、カタ・・・カタ・・・カタ・・・とロフトへと続く階段を上る音がした。金属の階段を昇る冷ややかな音は春先の夜の温度にはまだすこし冷たかった。

私たちは、くすくすと声を立てず笑い頭まで布団をかぶり寝たふりをした。

布団と枕の隙間から覗き込むと、お父さんはよしよしと言わんばかりに大きく頷き、またカタ・・・カタ・・・カタ・・・と音を立てて階段を降り、同じように足音をたててリビングへと戻っていった。

 何を話しているかはわからないが、お母さんとお父さんが楽しげに話し、沈黙の合間を縫う様にテレビの音が相槌を打っているのが聞こえた。

 私たちは互いにふぅーっと大きくため息をつき、顔を見合わせて大きく笑いだしそうになったが、慌てて互いの口を手でふさいで笑いを抑えた。

 ロフトの屋根の窓から月明りが差し込む静かな夜。少しだけ春を感じた。

 

このロフトは私たち、双子の寝るところであり、普段いっしょにすごしている部屋であり、二人だけの秘密の空間でもあった。

私たちにはお母さんの子宮から少しだけ顔を出すはやさの違いだけで「姉」と「妹」という区別がつけられてしまった。

 双子なのにこの区別を私たちはとても疎ましく思った。

 私たちはとても似通っていた。黒く腰までとどく長い艶やかな髪。少女に相応な小さな胸と細く伸びた白い手足。私たちは一卵性双生児であったため顔も似通っていた。両親ですら時々間違えるほどであり、近所の人たちに至っては違いが判る人たちはそんなにいなかった。

 私たちは約束をしていた。

 大人に決められた「姉」と「妹」という区別にあらがうために。

 互いに「姉」と「妹」を立ち変わりながら生活をしていくということを。私たちは互いに等しく分けあっていくということを。

 甘いお菓子も、冷ややかな痛みも悲しみも、暖かな喜びや幸せも。

 私たちは写鏡だ。

 相手の脈動を感じ、自分の鼓動を感じる。

 相手の息遣いで、私は呼吸をする。

 

 今日は相手の気持ちがなぜだかわからなかった。

 私の手のひらの下で、笑いをこらえている顔がなにを考えているかわからなかった。

 ばっと布団をはいで、窓から差し込む月明かりに照らされる黒い髪、細い四肢、華奢な身体、私と同じような顔。

 月明かりの下で笑うこの顔が私にはわからないことは初めてだった。

 相手の鼓動が確かめられないなんて初めてのことだった。

 姉は静かに口を開いて妹に告げた。

 「私、好きな人ができたの。」